大学を無事卒業し、新卒で入った会社も、段々と自分の思う様に業務を進められるようになり、やりがいを感じながら仕事に励んだ。
週末は友達と遊んだり、家で撮り溜めたドラマを観たり、たまに旅行に出かける事もあった。
大学時代から付き合っていた1個上の彼氏もいたが、会社に入って同僚の働く姿やものの考え方に触れるにつれ、彼氏の幼さを感じ魅力が薄れたので別れた。そしてすぐにその会社の先輩と付き合った。
公私ともに充実した日々を送っていた。彼の趣味がマリンスポーツだったので、一緒に海に出かけて、自分もハマっていった。
24歳になった頃、大学生から彼氏がいる友達は結婚し始めた。もう結婚するんだと驚きもあったが、周りの何人かはそのタイミングで結婚していったので、節目の歳なのかなと思ったが、付き合い始めたばかりだったのでまだ自分には早いと思った。
27歳になった頃、結婚ラッシュが始まった。社会人になってからできた彼氏と結婚していく人が多かった。ご祝儀貧乏になってしまったが、めでたい席だし、友達が幸せになる姿は嬉しかったし、また、羨ましいとも思った。
彼とは付き合って3年が経っていた。付き合い始めた頃は彼の大人びた考えや行動に魅力を感じていたが、自分もそれなりに成長し、会社での発言権も徐々に得られるようになり、先輩方には届かないもののそれなりの成績を出す事ができ、評価されている実感もあった。
20代のうちに結婚したいという願望はあったので、彼にそれとなく結婚を匂わせるような態度やアピールをするが、なかなか乗って来なかった。
そうこうしているうちに29歳を迎えてしまった。彼に結婚願望が無いのは不思議であった。年齢は4つ上の33歳。いつ結婚してもおかしくない歳だ。だが、この変化の無い付き合いが続いていた理由がある時わかってしまった。
週末に彼と海に出かけ、マリンスポーツ仲間達とワイワイしている時、彼と25歳の女性とが妙に仲良さげに見えた。特にボディタッチとかはなく、イチャイチャしているわけでも無かったが、その親しげな雰囲気に何か違和感があった。
そしてある日、彼と女の子が一緒にいる所を見たと友人から連絡が入った。その風貌を聞いたところ、マリンスポーツ仲間の若い女性のようだった。絶対何かあると思い、彼に問い詰めた。
すると彼はあっさり浮気を認めた。
悔しくて悲しくて、そして情けなさを感じた。これまでの付き合いは何だったんだろうか。付き合いの長さや深さは絆を結ぶのではないのか。
そして、別れという二文字が頭に浮かんだ。もちろん別れるのは嫌だったが、これ以上付き合ってももう駄目だと思ってしまった。自分の気持ちをごまかす事はできない。
楽しかった思い出も沢山あったし、大切に想える相手だったから、なおさら裏切られた気持ちで一杯になってしまった。数えれば5年の付き合いだった。責任を取れと罵ってやりたかったがどうしようもない。
そしてもう30歳は目前だった。
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